研究実績

ナリネ菌は、1953年の発見以来、現在に至るまで、アルメニア共和国においては、健康維持はもとより、母乳の代用、子供用栄養食品、腸内感染症・異細菌症をはじめ数多くの疾病の予防や治療薬として広く使用されています。
また、旧ソビエト連邦ではナリネ乳酸菌を、粉ミルクに混ぜ乳幼児の栄養補給に、またオリンピック選手の健康維持にも用いられ、既に70年近い使用実績があります。更に、ナリネ菌に関する臨床データや論文は200近くにも及びます。
ナリネ菌は、その安全性と高い機能性から、WHOやロシア科学アカデミー食品研究所において、優れた補助食品として推薦されています。

1986年ウズベキスタンの首都タシケントで開催された世界保健機構(WHO)のシンポジウムにおいて、
”ナリネ菌の発見者“と題して、紹介された新聞記事 :
Ереван. Автору "Наринэ, "Communist, Yerevan, №201,с.4 1986年8月30日。

研究成果の報告

他の乳酸菌との性能比較の中で、ナリネ菌の代表的な研究成果を2件報告します。

耐酸性の強さ

耐酸性試験 (pH3, 塩酸)

本表は、国内で生産されているビフィズス菌、ラクト菌とアルメニア原産のナリネ菌を、pH3.0の塩酸溶液に浸し、15分ごとに採取して生菌数の変動を観察した結果です。

時間経過とともに、生菌数は減少しますが、ナリネ菌は2時間後でも約10%以上の生存が確認されました。一方、酸に強いと言われるラクト菌でも、1時間後にはほとんど生存しておらず、またビフィズス菌では30分後には完全に死滅する結果でした。

また、アルメニアの実験では、pH3.0の塩酸中でも、ナリネ菌は分裂して増殖する様子が顕微鏡下で観察されています。更にナリネ菌は、36-40度の温度と適度な水分があれば、20-30分に一回分裂し増殖することが確認されています。

このデータが意味するところは、ほとんどの乳酸菌は、胃酸や胆汁酸に弱く、腸に届くまでに死滅してしまいますが、酸に強い「定着型活性乳酸菌」の特性を持つナリネ菌は、生きて腸まで到達することができることを示しています。

更に、別の研究でも、ナリネ菌は腸内での定着性、適応性が高く、腸内に2週間生存していることが報告されています。

【参考】
・Yeganyan G.A., “Use of Narine CDB for prevention and treatment of a number of diseases, Vitamax-E, 2003.
・加藤 俊彦ほか: 乳酸桿菌 Lactobacillus acidophilus Er-2strain 317/402, 通称ナリネ菌の特徴とその生理機能. 応用薬理 66, No. 3/4. July 2004.

抗菌作用の強さ

ナリネ菌、ラクト菌、ビフィズス菌の
抗菌力の比較(単位mm)

ナリネ菌の抗菌性に関しては、多くの研究がなされており、その結果を本表に示します。

この結果から、ナリネ菌は、様々な細菌に対して、殆ど影響を受けることなく、幅広い抗菌スペクトルを持っていることが分かります。例えば、大腸菌に対しては、ビフィズス菌の4倍‐10倍(円形の幅)、チフス菌に対しては、3倍‐6.5倍の抗菌力を持っています。また、赤痢菌に対しても、3倍強の抗菌力がある結果です。


(備考:細菌を混釈した培地に乳酸菌類を載せ、24時間培養後、菌の発育阻止像を計測)

ナリネ菌とその他プロバイオティクス菌の
抗菌力試験

別の実験でも、同様の結果が示されています。大腸菌を培養したペトリ皿に、液体のナリネ菌とその他4種類のプロバイオティクス菌を落とし、3時間後にどの程度、菌の増殖を阻止したかを計測した実験です。

円の輪郭がはっきりしているほうが、強く増殖阻止の効果が表れている状態を示します。ナリネ菌(番号1)は、他の4種類の菌に比べ、顕著な抗菌力を示しています。




【参考】
・Biologically Active Dietary Supplement “Narine”, Collection of research papers and recommendations; Vitamax-E, Yerevan-2003.
・Yerzinkyan L.A., “Domestic strains of Lactobacterium acidophilum and some products of their activity”, Problems Agricultural and Industrial Microbiology, Collection of Scientific Papers, Yerevan, N1(7), p.123-139. 1953.
・Yerzinkyan L.A., “Antibiotic properties of some lactic acid bacteria of the intestinal tract”, Problems Agricultural and Industrial Microbiology, Collection of Scientific Papers, Yerevan, 1961.
・Yeganyan G.A., “Use of Narine CDB for prevention and treatment of a number of diseases”, Vitamax-E, 2003.
・加藤 俊彦ほか: 乳酸桿菌 Lactobacillus acidophilus Er-2strain 317/402, 通称ナリネ菌の特徴とその生理機能. 応用薬理 66, No. 3/4. July 2004.

チェルノブイリ原発事故の被爆者への治療

更に、「ナリネ菌」の顕著な成果として、1986年に起こったチェルノブイリ原発事故の被爆者への治療が挙げられます。事故直後、原発の処理に当たった作業員や周辺の子供たちに、甲状腺がんが多発。その被爆者に、ナリネ菌を投与したところ、投与後20日間で被験者の約70%に、腸内細菌叢の正常化が認められたとことです。一方、同時に臨床比較したラクト菌とビフィズス菌では、腸内細菌叢の改善は見られなかったとの研究報告です。

アルメニア共和国は、旧ソビエト連邦に属していたことから、ナリネ菌に関する研究や報告は、極秘に行われてきたことから、西側世界にはほとんど知られませんでした。日本においては、1980年代後半から一部の機関で研究が始められ、今世紀に入ってから幾つかの分野で応用研究が行なわれています。しかし、海外での臨床研究に比べ、日本では十分な研究が行なわれていないのが現状です。

【出典:参照資料ほか:一部】
・Yerzinkyan L.A. (1953): Domestic strains of Lactobacterium acidophilum and some products of their activity, Problems Agricultural and Industrial Microbiology, Collection of Scientific Papers, Yerevan, N1(7), p.123-139.
・Yerzinkyan L.A. (1961): Antibiotic properties of some lactic acid bacteria of the intestinal tract, problems Agricultural and Industrial Microbiology, Collection of Scientific Papers, Yerevan.
・Yeganyan G.A. (2003): Use of narine CDB for prevention and treatment of a number of diseases, Vitamax-E, Yerevan.
・Oganesyan N.M. et al.: Collection of the intestinal microflora in persons subject to small doses if ionizing radiation by means of lyophilizated drug Narine. Scientific-Research Institute of Medical Radiology, Ministry of Health, Armenia, 1991.
・Malikoyan S.A. et al.: Experimental study of efficiency of combined administration of Narine product and gentamycin in combined radiation-thermal injury. Materials of the V All-Union Symposium. September 28-29, 1988, Obninsk city, 1989.
・喜多 正和: ナリネ菌によるインターフェロン誘発とインターフェロン産生能増強作用、基礎と臨床 21, 71-74, 1987.
・湯川 進, 伊藤 秀一, 西出 巌他: 臨牀経験 慢性C型肝炎患者に対するナリネ菌(乳酸菌)およびキクラゲ抽出物配合食品の有効性, 臨牀と研究 82(4), 733-737, 2005-04.
・加藤 俊彦、アレクサンダー カイリス、宇野 潤、百瀬 弥寿徳: 乳酸桿菌 Lactobacillus acidophilus Er-2strain 317/402, 通称ナリネ菌の特徴とその生理機能. 応用薬理vol. 66, No. 3/4. July 2004.
・Akopyan, G., Madoyan, R., Dilanyan, E., 金谷幸一, Lactobacillus acidophilus Er2 株317/402 “ナリネ株”の臨床使用における治療効果, Milk Science vol. 53, No. 2, 2004.

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